有限会社ドットワン

WinとMac、DTPにおける連携

2006年5月10日

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困ることはないデータの連携

WindowsとMacintoshのDTPにおける連携を考える時、まずデータのやり取りが浮かびます。
多くの場合、川上(クライアント)がWindows、川下(プロダクション)がMacという図式であり、具体的には、MS OfficeのデータをMac環境でいかに開くかということが中心で、この問題は数年前にほぼ解決、今日では困ることがありません。
その逆の流れ、制作側からクライアント側へのデータ転送は、川下が川上の事情を察したファイルを送る慣行があり、川上が困ったという事例は、ほとんど聴いたことがありません。

最近では、主要DTPアプリケーションのWindows版がリリースされたことにより、例えばWindows版Illustratorのデータが、製版所やプロダクションに持ち込まれる場合があります。
このケースは、作成側に、DTPの歴史がないため、業界の不文律・約束事が守られていませんので、あらたな問題を惹起していますが、とにかく、ファイルを開くことは可能です。そのレベルでは、データの連携は実現しているといえるでしょう。

最も大切なのは、モニターの調整

「WindowsとMacの連携」を語る時、前述のようにファイルが開く開かない、文字が崩れる、いや化ける、とかの展開になり、最も大切な問題が忘れ去られています。
それは、表示デバイス、すなわちモニターの調整です。
川上と川下。互いに見ている色が全然違うにもかかわらず、グラデーションの濃淡や画像の諧調を詮議するといった不可解なことが日常的に行われています。
ガンマ値や色域といった難しい話はさておき、制作・出力現場では、自社の出力機の印刷色、プロセスカラーチャート、そして自身のモニター発色の誤差を最小にするよう調整しています。
ところが、Windows環境のモニターが、印刷・デザインデータの校正用にセッティングされている例は、寡聞にして見たことがありません。 このことは、制作のスムースな進捗、異プラットホーム間の本来の連携を著しく停滞、時に停頓させる要因となっています。

…と、悠長なことを書いている場合ではありません。
世はネットワーク時代。クライアントにカンプを持参したり、校正刷りを届けたりといった肉眼での確認が極端に減少しています。
アプリもM用とW用が揃いました。フォントもOpen Typeなら困りません。ネットで送るPDFが総てです。…といってもいい状況です。後は、モニター。
もともとDTP制作が念頭にないWindowsだからやむを得ないという前に、少し調整してみましょう。
モニターとプリンターは同じ色ですか?
イラストレーターはCMYKモードで使っていますか?

記:内田憲志