有限会社ドットワン

Power Mac G4騒動顛末記 前編

2010年5月7日

パソコンを使い始めて間もない人や、使い続けていても自分でメンテナンスをしない人が、パソコンに詳しい人に不用意に言うと、鬱陶しがられる決まり文句があります。

「なんだかよくわからないんだけど、突然パソコンが壊れてしまった」

形あるものはすべて塵に還る運命、毎日使っていればどこかしらガタがきて徐々に壊れていくので、日々そのマシンに接している人であれば、なんとなく調子が悪いなぁというのは分かるものです。

つまり、本当に「突然壊れる」ことは稀なので、多くの「自称・突然壊れた」はそのマシンと真剣なおつきあいをしていないだけではないかと詳しい人は思うわけです。

実際、デスクトップにファイルを置きすぎて起動するたびにフリーズしてしまうため、再起不能になった職場の共有パソコンの話や、何年もデフラグ・スキャンディスクしなかったためにOS標準のツールすら使えないまでに断片化したお父さんのパソコンの話など、友人知人から聞いた「突然壊れたパソコンの真実」エピソードには事欠きません。

私も自分のマシンが突然壊れるという経験がそれまで無かったので、この「突然壊れる」ショックに見舞われると、確かに「何もなかったのに突然壊れてしまった」と言いたくなる気持ちがちょっとだけ理解できた次第です。

私が会社で使っていたのは、Power Mac G4 FireWire800(通称・FW800)でした。
今の仕事を始めた2006年の春から、ほぼ4年毎日フル稼働させていたことになります。私が使い始めるまでの3年ほどの間は、ある事情があってほとんど動いていませんでした。

このMacは2003年の1月に発表になった機種で、それまで標準搭載されていたOS XとOS9のデュアルブート起動ができなくなったため、当時声の大きかった9erのご機嫌を大層損ねた機種でもあります。

次のPower Mac G4 Mirrored Drive Doors 2003(通称・MMD2003)という機種で、デュアルブート起動が復活していることを考えると、この頃にはMac OS X(当時は10.2 Jaguar)への移行が、お仕事の現場では進んでいなかったという実情が垣間見えます。

本当のところは、内蔵電池も一回取り換えていますし、内蔵ハードディスクも増設し、Adobe CSのアプリケーションを毎日がんがん並行して使っていますので、経年劣化と内部の熱とで部品がダメになるのも当然の使用年数ではあります。

さて、2010年の4月中旬のある朝、いつものように出勤して一旦メールチェックをした後、外出して昼前に帰社、Macを再度起動しようと電源ボタンを押したところ、一瞬ランプが点灯するものの、そのまま消え入るように沈黙してしまうという事態に。

いつもならフーンフーンと中のハードディスクが回る音が聞こえてくるのですが、うんともすんとも言いません。

これはえらいことになったと文字通り血の気が引きました。
素人目にも電源周りで何かがおかしいことが分かりますが、ハードウェアのこととなるとメモリを挿すだのハードディスクを交換するだのくらいしかやったことがないので、手も足も出ません。

仕方がないのでこのマシンを購入した他、普段カラーコピー機のメンテナンスでお世話になっている会社に電話で連絡し、見に来てもらうことに。
念のためダメもとでAppleにも問い合わせをしたのですが、G4シリーズは2008年にサポートが終わっているため、どうにもならないというすげないお言葉。
当時なら部品の自宅交換プログラムもあったんですけどね…。

結果、電源スイッチ→スイッチユニット→電源ユニット→ハードディスクというステップのどこかで部品が壊れたのだろうということでした。

数年前でしたら本体を持ち帰って問題の部品を特定し、それを取り換えて元通りというコースなのですが、担当者の方いわくメーカーの部品の保有期間も終わり、自社内に予備でストックしていた部品も使いきってしまったので、日本橋あたりで探すくらいしか手が無い、それでも数万円は見ないと難しいとのこと。

現実的に考えると、今回なんとか部品が見つかって修理できたところで、また他の部品が壊れるかもしれないわけです。それが数年先になるか、数日先になるかは分かりません。
当座のところは手持ちのMacでなんとかして、Adobe CSシリーズのアップグレードも含めたタイミングを見計らって、最新機種を調達する方が良いように思いました。

幸い内蔵のハードディスク2台には問題がなさそうだったので、それと増設したメモリを外して、経理用としてたまに動いているPower Mac G4 Mirrored Drive Doors 2003に付け替え、仕事用Macに転用することにしました。
この機種であれば、今までのFW800とほとんど同じなので、メモリも使い回せます。

そうすると経理用のMacが無くなってしまうため、以前故障したハードディスクを交換してからほとんど触っていなかったPower Mac G4 Cubeがあるので、ホコリを払って復帰させることに。
OSも9.2が入っていたのを10.4に入れ直しました。お世辞にもさくさくとは言いませんが、経理ソフトさえ動けばいいという割り切りです。

そうして空いたPower Mac G4 MMD2003を、仕事用にセットアップするところまで来たのですが、それからまた一騒動持ち上がります。(後編へつづく

記:内田未来